カテゴリー: 物流ニュース

2024年問題以降の物流情勢・法改正・業界動向コラム

  • はい作業主任者とは

    はい作業主任者とは

    のぞみ
    のぞみ

    所長、うちの倉庫で「はい作業主任者を選任しないと」って話が出てたんですけど、そもそも「はい作業」って何ですか?

    ロジ郎所長
    ロジ郎所長

    いい質問だ。「はい」とは倉庫や土場に袋物・箱物などを規則正しく積み上げた荷のかたまりのこと。その積み上げ・積み下ろしが「はい作業」で、高さ2m以上のはい作業には法律で資格者の配置が義務付けられているんだ。

    物流倉庫の安全管理で必ず出てくる「はい作業主任者」。この記事では、はい付け・はい崩し作業の基本、主任者の選任が必要になる条件、技能講習の内容と受講方法を解説します。

    📌 この記事でわかること

    全部読まなくて大丈夫。知りたいところだけ読んでください。

    1. 「はい作業」とは
    2. はい作業主任者の選任が必要な条件
    3. はい作業主任者の職務
    4. 技能講習の内容と受け方

    ※ 迷ったところから読んでOKです。

    「はい作業」とは

    「はい(棚)」とは、倉庫・上屋・土場に積み重ねられた荷(袋物・箱物・木材など)の集団を指します。荷を積み上げる作業を「はい付け」、取り崩す作業を「はい崩し」と呼び、これらをまとめて「はい作業」といいます。崩落・落下による労働災害が起きやすい作業です。

    はい作業主任者の選任が必要な条件

    労働安全衛生法に基づき、高さ2メートル以上のはいのはい付け・はい崩し作業を行う場合、事業者は「はい作業主任者技能講習」を修了した者のうちからはい作業主任者を選任しなければなりません(荷役機械のオペレーターのみで行う作業など一部除外があります)。

    はい作業主任者の職務

    • 作業の方法および順序を決定し、作業を直接指揮する
    • 器具・工具を点検し、不良品を取り除く
    • 作業場所の安全(はいの状態・保護帽の使用状況など)を監視する
    • 関係者以外の立入りを禁止する措置

    技能講習の内容と受け方

    受講資格 はい付け・はい崩し作業の実務経験など(実施機関の案内を確認)
    講習時間 学科中心(おおむね2日程度)
    主な科目 はいに関する知識/人力・機械によるはい作業/工具・保護具/関係法令/修了試験
    実施機関 各地の労働基準協会・技能講習実施機関など

    講習は各都道府県の労働基準協会などが定期開催しています。費用・日程は地域により異なるため、勤務地の実施機関のサイトで確認しましょう。倉庫内のキャリアアップとして、フォークリフト運転技能講習とセットで取得しておくと現場での信頼度が大きく上がります。

    ロジ郎所長
    ロジ郎所長

    「たかが積み荷」と思われがちだが、はいの崩落事故は毎年起きている。資格は自分と仲間を守る知識だと思って取りに行こう。

    よくある質問

    Q. 2m未満のはい作業なら資格は不要ですか?

    主任者の選任義務は高さ2m以上のはい作業が対象です。ただし2m未満でも崩落リスクはあるため、同じ安全手順で作業すべきです。

    Q. フォークリフトだけで積み下ろしする場合は?

    荷役機械のみで行うはい付け・はい崩しは主任者選任の対象外とされています。人力作業が加わる場合は選任が必要です。

    Q. 講習に試験はありますか?

    講習の最後に修了試験があります。講習内容をきちんと聞いていれば十分合格できる水準です。

    まとめ

    はい作業主任者は、高さ2m以上の積み荷作業に法律で求められる安全の要です。現場リーダーを目指すなら、フォークリフト資格と並ぶ「持っていて損のない資格」。まずは最寄りの労働基準協会の講習日程をチェックしてみてください。

  • 物流2024年問題は「その後」どうなった

    物流2024年問題は「その後」どうなった

    2024年4月にトラックドライバーの時間外労働規制が始まってから、2年以上が経ちました。「モノが運べなくなる」と大騒ぎになった物流2024年問題は、その後どうなったのか——。

    本記事では、倉庫責任者として規制前後の現場を見てきた筆者が、2024年問題の「その後」を、データと現場の実感の両面から整理します。そして、この流れが2026年の改正物流法にどうつながっているのかも解説します。

    のぞみのぞみ

    所長、2024年問題って結局「大したことなかった」って言う人もいますよね。実際どうだったんですか?

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    「物流が止まる」みたいな派手な崩壊は起きなかった。だが現場は確実に変わったぞ。運賃は上がり、無理な配送は断られるようになり、荷待ちに厳しい目が向くようになった。ゆっくり効いてくるボディブローみたいな問題なんだな。

    2024年問題のおさらい

    規制内容2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働が年960時間に制限
    拘束時間1日原則13時間以内(最大15時間)に短縮
    割増賃金月60時間超の残業割増率が25%→50%に引き上げ
    輸送力予測対策をしない場合、2030年には輸送能力が約34%不足するとの試算

    2年経った現在地【データで見る】

    ① ドライバー不足は深刻なまま

    ドライバーの有効求人倍率は2.6〜2.8倍前後と、全職業平均(約1.2倍)の2倍以上の水準が続いています。さらに就業者の高齢化が進み、50歳以上が45%を超える一方、若年層は約10%。「規制で労働時間が減った分、頭数がもっと必要なのに、なり手が増えない」という構造は解消されていません。

    ② 運賃・物流コストは上昇基調

    運送会社から荷主への値上げ交渉は当たり前になり、「安く・無理して運ぶ」時代は終わりました。割増賃金率の引き上げ(50%)で人件費も上がっており、物流コストの上昇は荷主企業の経営課題になっています。

    ③ ドライバーの手取り問題

    残業規制で労働時間が減った結果、残業代に依存していたドライバーの手取りが減るという副作用も起きました。基本給の引き上げや歩合の見直しを進める会社と、そうでない会社で人材確保の差が開いています。

    のぞみのぞみ

    倉庫側には、どんな影響があったんですか?

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    一番は「荷待ち・荷役への視線」が厳しくなったことだな。ドライバーの拘束時間が限られるから、倉庫でトラックを待たせることが今まで以上に問題になる。バース予約や荷役分離を進めた倉庫と、何もしなかった倉庫で、運送会社からの評価がはっきり分かれ始めているぞ。

    現場で実際に変わったこと・変わらなかったこと

    ✅ 確実に変わったこと

    • 長距離輸送の中継輸送・モーダルシフト(鉄道・船)の活用が増えた
    • バース予約システム導入の動きが中小倉庫にも広がった
    • パレット化・荷役分離など「ドライバーに荷役をさせない」流れが加速
    • 再配達削減・置き配など消費者側の協力も一般化

    ⚠️ 変わりきっていないこと

    • 荷待ち時間ゼロにはほど遠く、業界平均ではまだ長時間の荷待ちが残る
    • 中小運送事業者の運賃転嫁は道半ば。立場の弱い事業者ほど苦しい
    • ドライバーの高齢化と若手不足は進行中

    そして2026年問題へ——規制は「荷主」に向かう

    2024年問題が「運ぶ側」の規制だったのに対し、2026年4月施行の改正物流効率化法は荷主・物流事業者側に効率化を義務付ける規制です。年間取扱貨物重量9万トン以上の特定荷主などには、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の提出が義務付けられました。

    つまり国の方針は一貫していて、「ドライバーの時間を守る(2024年)→ 荷主・倉庫側がムダを削る(2026年)」という流れです。詳しくは改正物流効率化法の解説記事をご覧ください。

    倉庫・物流で働く人はどう動くべきか

    👉 現場目線の結論

    • 荷待ち削減・パレット化の経験者は市場価値が上がる:改善経験を数字で記録しておこう
    • ドライバー・倉庫の待遇は改善方向:業界を出るより「良い会社に移る」選択肢が現実的に
    • 物流を語れる人材の需要は右肩上がり:資格+改善実績でキャリアの選択肢が広がる

    物流業界のキャリアは「追い風」です

    「物流業界の転職完全ガイド」では、年収相場と評価される経験の作り方を解説しています。あわせてご覧ください。

    よくある質問(FAQ)

    Q. 2024年問題で物流は止まりましたか?

    A. 大規模な物流停止は起きませんでしたが、運賃上昇・長距離輸送の見直し・荷待ち時間への規制強化など、構造的な変化が進行しています。2030年には輸送能力が約34%不足するという試算もあり、問題は現在進行形です。

    Q. ドライバーの給料は上がりましたか?

    A. 運賃の値上げや基本給の見直しが進む一方、残業規制により残業代が減って手取りが減少したケースもあります。賃金体系の見直しが進む会社とそうでない会社で差が開いています。

    Q. 2024年問題と2026年問題の違いは何ですか?

    A. 2024年問題はトラックドライバーの残業規制(運ぶ側の規制)、2026年問題は改正物流効率化法による荷主・物流事業者への効率化義務(出す側・受ける側の規制)です。

    まとめ:静かに、しかし確実に業界は変わっている

    2024年問題は「爆発」ではなく「地殻変動」でした。運賃・待遇・商習慣がゆっくり変わり続けており、2026年の改正物流法でその流れはさらに加速します。現場で働く私たちにとっては、負担も増えますが、物流の価値が正当に評価される時代への転換点でもあります。

    のぞみのぞみ

    ボディブローの意味、よく分かりました。うちの倉庫も荷待ち対策、続けないとですね。

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    そういうことだ。2年前に「様子見」した会社と「動いた」会社の差が、今まさに出始めている。次の2年で差はもっと開くぞ。

  • 改正物流効率化法とは【2026年4月施行】

    改正物流効率化法とは【2026年4月施行】

    「物流2024年問題の次は2026年問題」——物流業界にいると、最近この言葉を耳にする機会が増えてきました。2026年4月1日に本格施行された改正物流効率化法(改正物流法)により、一定規模以上の荷主企業・物流事業者には物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の提出が法的義務になります。

    本記事では、倉庫責任者として8年間現場を運営してきた筆者が、「結局、現場は何をすればいいのか」という目線で、改正物流効率化法のポイントと現場への影響、今から準備しておくべきことを解説します。

    のぞみのぞみ

    所長、最近「2026年問題」ってよく聞くんですけど、2024年問題とは別物なんですか?

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    別物だぞ。2024年問題はトラックドライバーの残業規制の話。2026年問題は、荷主と物流事業者そのものに「物流効率化の義務」がかかる法改正の話だ。つまり今度は倉庫や荷主の現場が主役になるんだぞ。

    ▲ 1分でわかる動画版(CLOの選任義務と罰則)

    改正物流効率化法とは?2024年問題との違い

    改正物流効率化法(正式名称は「物資の流通の効率化に関する法律」で、旧「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」を改正・改称したもの)は、トラックドライバー不足と輸送力低下に対応するため、荷主企業と物流事業者の双方に物流効率化への取り組みを求める法律です。

    2024年問題(ドライバーの時間外労働 年960時間上限規制)が「運ぶ側」の規制だったのに対し、今回の改正は「荷物を出す側・受ける側」、つまり荷主と物流現場に直接関わってくるのが最大の違いです。

    施行スケジュール2025年4月:努力義務スタート/2026年4月1日:特定事業者への義務化
    対象(義務化)荷主・連鎖化事業者は取扱貨物重量9万トン以上(荷主は約3,200社)、倉庫業者は保管量70万トン以上、トラック事業者は保有車両150台以上
    主な義務中長期計画の作成・提出、毎年度の定期報告(荷主・連鎖化事業者は物流統括管理者(CLO)の選任も)
    取り組み内容積載率向上・荷待ち時間短縮・荷役時間削減などのKPI管理
    罰則CLO選任違反:100万円以下の罰金/計画不提出・虚偽報告:50万円以下の罰金 など

    ※特定荷主は約3,200社の見込みで、指定基準は国内の貨物量の約5割をカバーするように設定されています。数値・制度の詳細は国土交通省の公表資料をご確認ください。

    すべての荷主・物流事業者に課される「努力義務」

    見落とされがちですが、2025年4月からは規模にかかわらずすべての荷主・物流事業者に努力義務が課されています。具体的には次のような取り組みです。

    👉 全事業者の努力義務(2025年4月〜)

    • 荷待ち時間の短縮:トラック予約受付システムの導入、バース運用の改善など
    • 荷役時間の削減:パレット化・フォークリフト荷役への切り替え、検品簡素化
    • 積載率の向上:共同配送、発注ロットの見直し、混載の活用
    のぞみのぞみ

    うちの倉庫は9万トンもないから関係ない…と思ってたら、努力義務はもう始まってるんですね!

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    そういうことだ。しかも大手の特定事業者は下請けや取引先にも改善を求めてくる。「うちは小さいから関係ない」は通用しなくなるぞ。取引先から「荷待ち時間のデータを出してくれ」と言われる日は近いんだな。

    物流統括管理者(CLO)とは何者か

    今回の改正の目玉がCLO(Chief Logistics Officer:物流統括管理者)の選任義務です。特定荷主は、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者(役員クラス)からCLOを選任しなければなりません。

    ✅ CLO義務化で期待されること

    • 物流が「現場任せ」から「経営マター」に格上げされる
    • 荷待ち・荷役などのムダが経営レベルのKPIで管理される
    • 物流部門の発言力・予算が強化されやすくなる
    • 物流人材の市場価値が上がる(CLO・物流管理職の需要増)

    ⚠️ 現場が覚悟しておくべきこと

    • 荷待ち時間・積載率・荷役時間のデータ取得と報告業務が増える
    • 経営層からの改善要求(KPI)が現場に降りてくる
    • パレット標準化・予約システム導入など、現場オペレーションの変更が発生する

    倉庫現場は何から準備すべきか【現場責任者の視点】

    筆者が現場責任者として実際に重要だと感じる準備を、優先度順に挙げます。

    ① 荷待ち・荷役時間の「見える化」から始める

    法対応の第一歩はデータです。トラックの到着時刻・バース着け時刻・出発時刻を記録するだけでも、荷待ちの実態が数字で見えるようになります。紙の記録でも構いません。まず1週間、実測してみることをおすすめします。

    ② バース予約の仕組みを整える

    荷待ち時間の削減で最も効果が大きいのがバース予約制です。システム導入が理想ですが、まずは電話・メールでの時間指定受付から始めても効果はあります。

    ③ パレット化・ユニットロード化を進める

    バラ積み・バラ降ろしは荷役時間の最大の敵です。取引先とパレットサイズの標準化(T11型など)を協議し、手荷役を減らすことが、法対応にも現場の負担軽減にも直結します。

    ④ 改善活動を記録に残す

    努力義務への対応は「やっているか」だけでなく「説明できるか」が問われます。改善前後の数値を記録しておけば、取引先からの問い合わせにもすぐ対応できます。

    のぞみのぞみ

    データの見える化って、専用システムがないと無理じゃないですか?

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    最初はExcelで十分だぞ。ドライバーの到着と出発の時刻を書き留めるだけでも立派なデータだ。わしの現場でも、最初は紙とストップウォッチから始めたんだぞ。大事なのはツールじゃなくて「測り始めること」だな。

    物流業界で働く人への影響——ピンチかチャンスか

    法改正は現場の負担増に見えますが、物流人材にとっては追い風という側面もあります。CLO選任義務化により、物流を語れる管理職・改善経験のある現場リーダーの市場価値は確実に上がっています。荷待ち削減や積載率改善の実績は、そのまま転職市場で評価される「数字で語れる実績」になります。

    物流の現場経験は、これから「武器」になります

    ロジ現場ラボでは、現場改善の実践ノウハウやキャリアアップに役立つ資格情報も発信しています。カテゴリ「転職・キャリア」「物流資格」もあわせてご覧ください。

    よくある質問(FAQ)

    Q. 改正物流効率化法はいつから施行されますか?

    A. 2025年4月から全事業者への努力義務が始まっており、2026年4月1日から特定事業者(荷主は年間取扱貨物重量9万トン以上など)への義務規定が施行されました。

    Q. 中小の倉庫会社にも関係ありますか?

    A. 義務化の直接対象でなくても、努力義務は全事業者が対象です。また特定事業者である取引先から荷待ち時間データの提出や改善協力を求められるケースが増えると見られます。

    Q. CLOには誰がなれますか?

    A. 事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者、つまり役員・執行役員クラスからの選任が求められます。物流部長の兼任では要件を満たさない場合があります。

    Q. 罰則はありますか?

    A. CLO選任義務違反には100万円以下の罰金、中長期計画の不提出や虚偽報告には50万円以下の罰金などが定められています。

    まとめ:今のうちに「測れる現場」を作ろう

    改正物流効率化法は、物流を経営課題に引き上げる大きな転換点です。現場レベルでは、①荷待ち・荷役時間の見える化、②バース予約の仕組み化、③パレット化の推進——この3つを進めておけば、法対応と現場改善の両方に効きます。

    のぞみのぞみ

    まずはうちの倉庫も、荷待ち時間を測るところから始めてみます!

    ロジ郎所長ロジ郎所長

    それでいい。取引先からデータを求められて慌てないよう、今のうちに「数字で語れる現場」を作っておくんだぞ。この波は、ちゃんと準備した現場にとってはチャンスだからな。