「物流2024年問題の次は2026年問題」——物流業界にいると、最近この言葉を耳にする機会が増えてきました。2026年4月1日に本格施行される改正物流効率化法(改正物流法)により、一定規模以上の荷主企業・物流事業者には物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の提出が法的義務になります。
本記事では、倉庫責任者として8年間現場を運営してきた筆者が、「結局、現場は何をすればいいのか」という目線で、改正物流効率化法のポイントと現場への影響、今から準備しておくべきことを解説します。
所長、最近「2026年問題」ってよく聞くんですけど、2024年問題とは別物なんですか?
別物だぞ。2024年問題はトラックドライバーの残業規制の話。2026年問題は、荷主と物流事業者そのものに「物流効率化の義務」がかかる法改正の話だ。つまり今度は倉庫や荷主の現場が主役になるんだぞ。
改正物流効率化法とは?2024年問題との違い
改正物流効率化法(正式には「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の改正)は、トラックドライバー不足と輸送力低下に対応するため、荷主企業と物流事業者の双方に物流効率化への取り組みを求める法律です。
2024年問題(ドライバーの時間外労働 年960時間上限規制)が「運ぶ側」の規制だったのに対し、今回の改正は「荷物を出す側・受ける側」、つまり荷主と物流現場に直接関わってくるのが最大の違いです。
| 施行スケジュール | 2025年4月:努力義務スタート/2026年4月1日:特定事業者への義務化 |
|---|---|
| 対象(義務化) | 年間取扱貨物量9万トン以上の特定荷主・特定物流事業者(約3,200社) |
| 主な義務 | 物流統括管理者(CLO)の選任、中長期計画の作成・提出、毎年度の定期報告 |
| 取り組み内容 | 積載率向上・荷待ち時間短縮・荷役時間削減などのKPI管理 |
| 罰則 | CLO選任違反:100万円以下の罰金/計画不提出・虚偽報告:50万円以下の罰金 など |
※対象約3,200社で国内貨物輸送量の約5割をカバーすると言われています。数値・制度の詳細は国土交通省の公表資料をご確認ください。
すべての荷主・物流事業者に課される「努力義務」
見落とされがちですが、2025年4月からは規模にかかわらずすべての荷主・物流事業者に努力義務が課されています。具体的には次のような取り組みです。
👉 全事業者の努力義務(2025年4月〜)
- 荷待ち時間の短縮:トラック予約受付システムの導入、バース運用の改善など
- 荷役時間の削減:パレット化・フォークリフト荷役への切り替え、検品簡素化
- 積載率の向上:共同配送、発注ロットの見直し、混載の活用
うちの倉庫は9万トンもないから関係ない…と思ってたら、努力義務はもう始まってるんですね!
そういうことだ。しかも大手の特定事業者は下請けや取引先にも改善を求めてくる。「うちは小さいから関係ない」は通用しなくなるぞ。取引先から「荷待ち時間のデータを出してくれ」と言われる日は近いんだな。
物流統括管理者(CLO)とは何者か
今回の改正の目玉がCLO(Chief Logistics Officer:物流統括管理者)の選任義務です。特定荷主は、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者(役員クラス)からCLOを選任しなければなりません。
✅ CLO義務化で期待されること
- 物流が「現場任せ」から「経営マター」に格上げされる
- 荷待ち・荷役などのムダが経営レベルのKPIで管理される
- 物流部門の発言力・予算が強化されやすくなる
- 物流人材の市場価値が上がる(CLO・物流管理職の需要増)
⚠️ 現場が覚悟しておくべきこと
- 荷待ち時間・積載率・荷役時間のデータ取得と報告業務が増える
- 経営層からの改善要求(KPI)が現場に降りてくる
- パレット標準化・予約システム導入など、現場オペレーションの変更が発生する
倉庫現場は何から準備すべきか【現場責任者の視点】
筆者が現場責任者として実際に重要だと感じる準備を、優先度順に挙げます。
① 荷待ち・荷役時間の「見える化」から始める
法対応の第一歩はデータです。トラックの到着時刻・バース着け時刻・出発時刻を記録するだけでも、荷待ちの実態が数字で見えるようになります。紙の記録でも構いません。まず1週間、実測してみることをおすすめします。
② バース予約の仕組みを整える
荷待ち時間の削減で最も効果が大きいのがバース予約制です。システム導入が理想ですが、まずは電話・メールでの時間指定受付から始めても効果はあります。
③ パレット化・ユニットロード化を進める
バラ積み・バラ降ろしは荷役時間の最大の敵です。取引先とパレットサイズの標準化(T11型など)を協議し、手荷役を減らすことが、法対応にも現場の負担軽減にも直結します。
④ 改善活動を記録に残す
努力義務への対応は「やっているか」だけでなく「説明できるか」が問われます。改善前後の数値を記録しておけば、取引先からの問い合わせにもすぐ対応できます。
データの見える化って、専用システムがないと無理じゃないですか?
最初はExcelで十分だぞ。ドライバーの到着と出発の時刻を書き留めるだけでも立派なデータだ。わしの現場でも、最初は紙とストップウォッチから始めたんだぞ。大事なのはツールじゃなくて「測り始めること」だな。
物流業界で働く人への影響——ピンチかチャンスか
法改正は現場の負担増に見えますが、物流人材にとっては追い風という側面もあります。CLO選任義務化により、物流を語れる管理職・改善経験のある現場リーダーの市場価値は確実に上がっています。荷待ち削減や積載率改善の実績は、そのまま転職市場で評価される「数字で語れる実績」になります。
物流の現場経験は、これから「武器」になります
ロジ現場ラボでは、現場改善の実践ノウハウやキャリアアップに役立つ資格情報も発信しています。カテゴリ「転職・キャリア」「物流資格」もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 改正物流効率化法はいつから施行されますか?
A. 2025年4月から全事業者への努力義務が始まっており、2026年4月1日から特定事業者(年間取扱貨物量9万トン以上など)への義務規定が施行されます。
Q. 中小の倉庫会社にも関係ありますか?
A. 義務化の直接対象でなくても、努力義務は全事業者が対象です。また特定事業者である取引先から荷待ち時間データの提出や改善協力を求められるケースが増えると見られます。
Q. CLOには誰がなれますか?
A. 事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者、つまり役員・執行役員クラスからの選任が求められます。物流部長の兼任では要件を満たさない場合があります。
Q. 罰則はありますか?
A. CLO選任義務違反には100万円以下の罰金、中長期計画の不提出や虚偽報告には50万円以下の罰金などが定められています。
まとめ:2026年4月までに「測れる現場」を作ろう
改正物流効率化法は、物流を経営課題に引き上げる大きな転換点です。現場レベルでは、①荷待ち・荷役時間の見える化、②バース予約の仕組み化、③パレット化の推進——この3つを進めておけば、法対応と現場改善の両方に効きます。
まずはうちの倉庫も、荷待ち時間を測るところから始めてみます!
それでいい。2026年4月に慌てないよう、今のうちに「数字で語れる現場」を作っておくんだぞ。この波は、ちゃんと準備した現場にとってはチャンスだからな。


