本記事は倉庫責任者8年の実務経験をもとに、AIツールの作成支援を活用して執筆・編集しています。掲載情報はロジ現場ラボ編集部が確認しています。
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年末の物量は、現場の努力では止められません。止められるのは準備を始める月だけです。国土交通省の集計では、令和6年度の宅配便取扱個数は50億3147万個(前年度比+0.5%)。この数字が毎年11月下旬から12月にかけて一気に集中します。
しかも2024年4月以降、ドライバーの時間外労働には年960時間の上限があり、「残業でカバーする」という従来の逃げ道が塞がれました。倉庫側も同じで、繁忙期を人の頑張りで吸収する運用はもう成立しません。この記事では、9月・10月・11月に何をやっておくかを8項目に絞って並べます。
まだ9月なのに、もう年末の話ですか…?
9月に決めなかったことは、12月には決められない。人も資材も、先に押さえた現場から順に埋まっていくからだ。年末に強い現場と弱い現場の差は、能力じゃなくて着手時期でついている。
📌 この記事でわかること
全部読まなくて大丈夫。担当しているところだけ読んでください。
※ 迷ったところから読んでOKです。
9月にやること
① 人員は「12月に何人足りないか」から逆算する
まず、去年の12月の日次出荷実績を出してください。ピーク日の出荷数を、1人あたりの処理能力(ピッキング行数/時間)で割れば、必要人時が出ます。そこから既存メンバーのシフト可能時間を引いた差分が、採用しなければならない人数です。
ここを感覚で「去年もなんとかなったから」で済ませると、12月第2週に破綻します。募集は9月末〜10月頭に出すのが最も安く、最も集まる時期です。11月に入ると求人単価が上がり、12月の募集は「来ても即戦力にならない」ため費用対効果が最悪になります。
人が集まらない前提の打ち手は倉庫の人手不足対策にまとめています。定着させる側の話は倉庫スタッフのマネジメントへ。
採用の話で一番よく聞く失敗が「12月1日から来てもらう」だ。11月中旬入社にして、繁忙期前に1回まわしておく。この2週間で生産性が倍違う。
② 段ボール・緩衝材・テープは9月に数量を確定して発注する
資材は12月にいちばん値上がりし、いちばん届きません。去年の12月使用量に1.1〜1.2倍を掛けた数量で、9月中に発注をかけておきます。保管スペースがないなら、分納(11月・12月の2回納品)で押さえるだけでも効果があります。
種類を増やしすぎないことも重要です。サイズが多いほど選ぶ時間が増え、繁忙期の作業時間を確実に削ります。緩衝材の使い分けは梱包資材・緩衝材の選び方で整理しています。
③ 冬の防寒装備を、寒くなる前に人数分そろえる
倉庫の生産性は気温で落ちます。手がかじかむとピッキングもスキャンも遅くなり、厚着しすぎれば動作が鈍る。11月に慌てて買うとサイズ欠けが起きるので、9〜10月に人数分をまとめて用意します。詳細は倉庫用防寒ウェアと倉庫の寒さ対策へ。
10月にやること
④ ロケーションを組み替える(11月上旬までに完了)
繁忙期に効く改善のうち、費用ゼロで効果が最大なのがロケーション変更です。直近3か月の出荷実績でABC分析をかけ、Aランク品を最短動線・腰高(ゴールデンゾーン)に集める。これだけで歩行距離とかがみ動作が減ります。
注意点は11月に入ってからやらないこと。ロケ変更直後は必ず一時的にミスが増えるため、慣らす期間が必要です。10月に動かして11月で慣らし、12月に本番、が正しい順番です。手順はピッキング効率化に詳しくまとめています。
⑤ 棚卸は11月までに終わらせる
12月に在庫差異が発覚すると、欠品・出荷停止・謝罪の三重苦になります。繁忙期前の棚卸は「やったほうがいい」ではなく前提条件です。全数が難しければ、Aランク品だけの循環棚卸でも構いません。進め方は棚卸の効率化へ。
⑥ フォークリフト・台車・ハンディを点検する
繁忙期に壊れると代替が手配できません。10月のうちに、バッテリー、タイヤ、フォークの爪、台車のキャスター、ハンディターミナルの充電池をチェックします。特に台車のキャスターは消耗品で、動きの重い台車が1台あるだけで現場全体のテンポが落ちます。
フォークリフトの事故は物量が増える時期に集中します。フォークリフトの事故防止を朝礼で1項目ずつ読み合わせるだけでも効果があります。台車選びは倉庫用台車へ。
11月にやること
11月はもう忙しくなってきますよね…
だからこそ、11月は新しいことをやらない月だ。9月・10月で決めたことを、人に浸透させるだけに使う。
⑦ 新人が「聞かずに動ける」状態を作る
繁忙期の生産性を決めるのは、ベテランの速度ではなく新人が質問のために立ち止まる回数です。減らす方法は3つあります。
- 写真つき手順書を棚の現物に貼る…マニュアルを事務所に置いても誰も見ません
- 最初の3日はペア作業…独り立ちを急ぐほど、後でミスの回収に時間を取られます
- 例外処理の連絡先を1か所に決める…「誰に聞けばいいか分からない」が最大の停滞要因です
育成の考え方は現場の部下育成にまとめています。
⑧ 誤出荷は「増える前提」で仕組みを足す
誤出荷率は、物量が増えると必ず上がります。原因は新人比率の上昇と、確認工程の省略です。繁忙期前に足すなら、この順番が費用対効果が高いです。
- 出荷前のスキャン検品を1工程だけ必須にする(全工程ではなく1か所)
- 似ている商品を物理的に離す(色違い・サイズ違いを隣に置かない)
- 誤出荷が出たら当日中に事例を共有する(月次報告では遅い)
具体策は誤出荷対策へ。WMSの導入を検討する段階ならWMS比較と選び方も見てください。
おまけ:欠勤が出た日のリカバリを先に決めておく
12月はインフルエンザと寒さで欠勤が増えます。「誰が欠けたら、どの工程を止めて、どの工程に人を寄せるか」を紙1枚で決めておくだけで、当日の判断が速くなります。休憩・入荷の回し方は昼休みに入荷が止められない問題も参考になります。
月別チェックリスト
| 時期 | やること | やらなかった場合に起きること | 担当 |
|---|---|---|---|
| 9月 | 去年12月の実績から必要人時を算出 | 12月第2週に人が足りず、出荷が翌日繰越に | 現場責任者 |
| 求人を出す(11月中旬入社を目標) | 単価が上がり、教育期間もゼロになる | 採用担当 | |
| 資材を1.1〜1.2倍で発注(分納可) | 段ボール切れで出荷停止 | 資材担当 | |
| 10月 | ABC分析してロケーション変更 | ピーク時に歩行距離がそのまま残る | 現場責任者 |
| 棚卸(最低でもAランク品) | 12月に在庫差異が発覚し欠品対応に追われる | 在庫管理 | |
| フォークリフト・台車・ハンディ点検 | 繁忙期に故障、代替機が手配できない | 設備担当 | |
| 11月 | 現物に写真つき手順書を貼る | 新人が都度質問し、ベテランの手が止まる | 教育担当 |
| スキャン検品を1工程必須化 | 誤出荷が増え、再送と謝罪で工数が倍に | 品質担当 | |
| 欠勤時のリカバリ手順を紙1枚で作る | 欠員当日に判断が遅れ、全工程が詰まる | 現場責任者 |
よくある質問
Q. 人が採れない前提だと、何から削ればいいですか?
A. 削るのは「工程」ではなく「種類」です。梱包資材のサイズ数、緩衝材の種類、例外対応のパターン。判断が必要な選択肢を減らすと、同じ人数でも処理量が上がります。工程そのものを削ると、誤出荷とクレームで結局工数が戻ってきます。
Q. 派遣とスポットバイト、どちらがいいですか?
A. 単純作業を切り出せているならスポット、複数工程を任せたいなら派遣(同じ人が継続して来るため)。毎日違う人が来る前提の工程設計ができているかどうかが分かれ目です。できていないなら、単価が高くても継続して来る人を選んだほうが総コストは下がります。
Q. 11月からでも間に合う対策はありますか?
A. 3つあります。①現物への手順書貼り付け、②似ている商品の物理的な分離、③欠勤時リカバリ表。いずれも半日で着手でき、効果が当日から出ます。ロケーション変更と棚卸は11月以降なら見送ってください。動かすリスクのほうが大きくなります。
Q. 残業でしのぐのは本当にだめですか?
A. ドライバーには年960時間の上限が課されており、倉庫側も長時間労働は事故率と誤出荷率を直接押し上げます。疲労は品質に先に出ます。残業を前提に計画した年は、翌年の人員定着も悪化します。
まとめ
年末を乗り切る現場とそうでない現場の差は、設備でも人数でもなく9月・10月に何を決めたかです。人を9月に募集し、資材を9月に発注し、ロケを10月に変え、11月は浸透させるだけ。この順番を守れば、12月は「いつもの仕事を少し多くやる月」に変わります。
今週、去年の12月の実績を出すところから始めてみます。
それでいい。数字を1枚出すところからしか始まらない。勘でやる年末は、毎年同じところで壊れるからな。
参考:国土交通省「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について」(令和7年8月27日公表)。



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